arasawa (2016年05月30日)
[事例]
〔税務〕〔生命保険〕
~相続財産の生命保険金非課税枠~
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。
(注)1. 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
2. 法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
(参照:国税庁HPより)
現行税制では、上記のように、一定の生命保険金について非課税制度が設けられています。
この規定をもとに、相続対策として生命保険に加入されてみえる方がいらっしゃいます
が、その契約内容をもう一度見直してみてください。
実際に弊社のお客様であった事例です。
保険代理店「A様もB様もそれなりの現金をお持ちですが、現金だと相続税の課税対象になってしまいます。A様が亡くなられた場合、法定相続人が3人なので、1,500万円までは非課税制度が使えます。また、B様が亡くなられた場合も同様に1,500万円までは非課税制度が使えますので、お二人とも保険金額1,500万円の一時払終身保険に加入しましょう!保険受取人はお互い配偶者にしておけば、老後の資金も心配ありません!」
ここで、腑に落ちないと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
まず1つめ、配偶者を受取人にすると1次相続発生時に配偶者の資産が増加しますよね?2次相続に向けてはまた別の対策を講じていく必要が出てきてしまいます。
相続税は制度上、2次相続発生時までを念頭に置いて対策を講じていく必要がありますので、どうせ非課税枠を活用できるのであれば、一次相続発生時点でお子様に資産を移しておけるよう、受取人はお子様にしておくのが望ましいのではないでしょうか?この場合、もちろん750万円ずつそれぞれのお子様を受取人に設定することも可能です。
2つめに、平均寿命からいけば、A様が先に亡くなられる可能性が高いです。
仮にそうなった場合、B様の非課税枠は1,000万円になってしまい、残りの500万円は相続税の課税対象となってしまいます。なので、当初は1,500万円ずつ加入しておいたとしても、A様が亡くなられた後はB様の保険を500万円減額して、別の方法で対策をする必要が出てきます。
もちろん、上記のようなことは少し考えればどなたでも理解していただけることです。
ただ、A様の場合、昔からのお付き合いである保険代理店の方に任せきりで、弊社の相続対策プランをご利用いただいた際に再度保険の契約内容を確認させていただいたところ、このような契約になってしまっていました。
弊社では、再度A様やB様にヒアリングを行い、お持ちの金融資産や不動産の価額も勘案して、税額の軽減だけを考えるのではなく、本来のライフプランに沿った相続対策プランを提案させていただきました。